『ゲド戦記#3 さいはての島へ』

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3冊目。ここで物語はひと区切り。


長らく平和だった世界に、何かが起きていた。魔法の力が衰え、人々は無気力になっている。賢いはずの竜までもが、言葉を忘れて互いを傷つけ合っている。


大賢人となったゲドのもとへ異変を知らせに訪れた、王家の血を引く若き青年アレン。

二人は災の源を突き止めるべく、島々を渡り始める。

 

本編とは関係ないけど、あとがきの言葉が印象的だった。
「空想は女や子供のもの、と軽く扱う現代人の心の貧しさにはため息をつく。
世の大人、とりわけ社会の第一線で働く身なりのきちんとした人達が、竜に象徴されるファンタジーをこんなにも排斥するのは、実はファンタジーが真実であることを知っているからではないか。

自分たちを忙しい日常へと駆りたてているものを、そこに密かに潜んでいる虚偽を、竜が暴き出して見せるからではないか。

そんなふうにして自分たちが人間的に解放されて自由になることを、怖がっているのではないか。」

 

物語は、道に迷ったときに知恵を与えてくれたり、心が弱った時に傷を癒してくれる力があると思う。


とりわけ児童文学は、本に慣れない人や、難しいものはちょっと…という時でも読みやすい。


心がうまく動かない、そんな時に手に取ってみるのもいいかも。