村上作品はいろいろと読んできたけど、学生の頃この本を読んで、なぜか納得できなくていらいらしたのを覚えている。
今読んだらどう思うのだろうと、読み直してみた。
全編にわたって描かれ続ける性描写。
異世界に飛んだりしないところも、
村上作品にしては珍しいのかもしれない。
少し抵抗がありながらも、美しくてつい読み込んでしまう。読み終わってふと、10代から20代を生き抜く若者が、誰でも抱く心の幼い部分を、セックスで身体的に、補っているようにもみえる。
言葉にできない青春真っ只中のそんな思いを、物理的に、ある意味無理矢理に埋めようとしているというか。