三ヶ所の体外受精の説明会へ参加し、感情的にはかなり混乱しつつも、すでに予約してしまっていたので、はらメディカルクリニックの体外受精初診へ。
混乱しすぎて体外受精へのモチベーションを完全に失って、直前まで行くのをやめようと思っていたけど、出発ぎりぎりの時間に思い直して、行くことに。
ちょうどその朝、NHKのニュースで高齢出産での先天性の病気の特集を見たからだと思う。
診察では、正直に迷ってしまっていることを告げると、先生は要するにどの確率に望みを託すかだ、と言った。
自然妊娠する確率より、人工授精の方が確率が高い。そしてそれよりも確率が高いのは体外受精。
どのくらいの確率を求めて治療を進めていきたいか、それは2人の希望次第だ、と。
その言葉で改めて確実な方法なんてどこにもないと思い知らされた。
「不妊治療にどこまでお金をかけられるのか」
と言われたように思えた。
もはやクリニックに対してというか、不妊治療自体に嫌気が刺していた。
不妊治療は「治療」じゃない。
子どもができないというのは、病気じゃない。
だからできないことは前提で、
あとはいくらまで出して賭けをするか。
不毛な治療にわずかな望みをかけて、大金を払う夫婦がたくさんいる。
わずかな望みをかけて、すがって通う人たちのお金で不妊治療は成り立っている。そんな風に思って心底嫌になった。
原因が明白なら治したいけど、不要な手術は避けたいし、手術が成功しても妊娠するとは限らない。手術から治療再開までに時間がかかれば、年齢は上がり妊娠の確率は下がっていくというリスクもある。
確かに詳しい精子の状態を知ってから、治療方法を選択した方がいいかもしれない。でも知ったところで治療はできるのか?精密検査には12万ほどかかる。
万が一状態が悪かったとしても、そもそも顕微授精は避けたいという意向がある。
それなら高い費用を出してまで調べる必要はあるんだろうか?
どの病院も、主張は様々で、何が自分たちに必要なのかわからなくなってしまった。
もう全部やめてしまいたかったけど、ここでやめたら「いろいろやったけど妊娠できなかった」んじゃなくて、「いろいろやらなかったから妊娠できなかった」ことになって、思い返した時に後悔しそうな気がした。
多くの夫婦が、同じような気持ちでここまできているんじゃないかと思う。
なんというか、お腹にやって来ようとどこかで待っている子どもがいると思うと、簡単には諦められないんだと思う。
諦めるということは、見放すことと同じというか、見殺しにしてしまうような気持ちになる。
もはや正しい答えなんて、ないだろうし、出せそうになかった。
最終的に2人で出した結論は、検査や手術はせずに、はらメディカルクリニックで体外受精を試してみる。そしてダメならそこで諦める。
というものだった。
精子の状態が本当に悪ければ実際の受精前に
やれるのかどうか判断することができるということと、卵管に関しては不用意に手術をしたくなかったから。これが折衷案だった。
来週、改めて初診となる。
どこかで区切りをつけないと。
ひどい気分だったけど、とにかく前に少し進み始めた。