またまたゲド戦記、読み終えた。
島々を渡り歩く冒険から一転、2作目は暗闇で行われる怪しげな儀式から始まる。
今回は大巫女となり「名なき者」と呼ばれる闇のものたちに身を捧げることになった、選ばれし少女アルハの物語。
同年代の巫女たちとも隔てられ、特別な存在として育てられたアルハ。厳しい規律と閉ざされた城での粗末な暮らし。
でもこれが歪んだ日常であることを、アルハは知らない。
そんなある日、ゲドとの出会いで状況は少しずつ変化していき。。
幼いころから疑いもなく一切を捧げてきた世界が、崩れ始める。唯一絶対のはずの「名なき者」は、本当に絶対なんだろうか?外の世界は、本当に存在するんだろうか?
敷かれたレールの上で安穏と暮らすことは、なんて容易いんだろう。
何か違うと苛立ちながらも変えられない日々、初めて触れる「自由」の重さ、惹きつけてやまない光射す未知の世界。
新たな一歩を踏み出すのか、それとも大巫女として生き続けるのか。両極端ともいえる感情を同時に抱えながら激しく葛藤する姿に、胸を打たれた。
長くいた環境を飛び出したり、見方を変えることって、周りの人から見える以上に、本人にしかわからない類の難しさや恐しさがあると思う。
本当に変わりたいと思う時、変わる方を選びたいと思う。
そんな勇気をくれる物語だった。