絵を描く

初めて、自分で選んだモチーフで絵を描いている。

初めて自分の選んだ紙を使って、

初めて自分の考えた構図で、

初めて自分の好きなサイズで描いている。

 

教室に通っていると、あらかじめ決められた物事が、どれだけ多いことか。一人でやってみて初めて気づいたことがたくさんある。

 

絵のテーマはもちろん、紙の目の細かさ、使う画材、どこで描くか、どのくらい描き込むか。

どんな音楽を聴きながら描くのか。

自由になったら、描きたい気持ちが強くなった。

 

ずっとどんなものを描いていいのかわからず、

立ち止まっていたのに。今はわくわくしてる。

納得できなくて、苦しい時間の方が長いけれど。

 

完成間近の絵に、名残惜しいような気持ちで加筆を繰り返す、ここ数日。

描き始める前に、絵を取り出して少し眺める。

十分とは言えない絵だけど、なにはともあれ贅沢な瞬間だ。

 

額はどうしよう。

額と絵の間の、余白はどのくらい?

描き終わったって、まだ決めるべきことがいくつかある。

 

そんなことを考えてはいるけど、実は頭の中ではすでに、次の絵のことで頭がいっぱいだったりする。