本のこと・読書感想

『カチアートを追跡して』

ティム・オブライエンの初期作品。 『ニュークリア エイジ』、『本当の戦争の話をしよう』に続き、読了。 最近ティム・オブライエンが面白い。ドライブ感やリズミカルな文体が癖になる。リアルで容赦がない。なのに何故かファンタジーでもある。今一番好きな…

迷い

三ヶ所の体外受精の説明会へ参加し、感情的にはかなり混乱しつつも、すでに予約してしまっていたので、はらメディカルクリニックの体外受精初診へ。 混乱しすぎて体外受精へのモチベーションを完全に失って、直前まで行くのをやめようと思っていたけど、出発…

『本当の戦争の話をしよう』

『本当の戦争の話をしよう』ティム・オブライエン 20代半ばで手に取って、読み進められずずっと置いていた本。 『本当の戦争の話をしよう』は実際にベトナム戦争を経験した著者によって書かれた本だ。 大学卒業時に徴兵された記憶を、43才の時に回顧し「戦争…

二重身

日本人は、あまり二重人格にならないという。 現代においてはストレスのあり方なども変わってきて二重人格自体が少なくなったらしいが、なぜ、日本人に二重人格が少ないのか。 河合さんの本には、ある女性が体験したこんな夢とともにその考察が載っていた。 …

箱庭と絵 ~箱庭治療入門~

『箱庭療法入門』(河合隼雄編)が面白い。 ずっと気になっていた箱庭療法。 箱庭の使い方から、治療者の心構え、大まかな配置やそれぞれのものが意味する傾向、事例など、詳しく知ることができる。 事例と時系列に並べられた箱庭の写真を照らし合わせて読む…

『フェッセンデンの宇宙』

珍しくSFを読む。短編小説集。 草間さんの本に出てきたので読んでみることに。 自分の研究室に宇宙を作り出した男、風たちと暮らす少女、幼少から続く長い長い夢でどちらが現実かわからなくなってしまった男、羽根を持って生まれた青年の話など、、 単純に楽…

草間彌生『無限の網』

草間彌生さんの「無限の網」を読んだ。 草間さんの生い立ちや、渡米してからの活動などが、自身の言葉で綴られている。とても読みやすい文体で、すっと入ってきた。 草間さんをちょっと紹介してみよう。 * * * 草間彌生さん 1929年3月22日、長野県松本市…

『モネ、ゴッホ、ピカソも治療した 絵のお医者さん』

『モネ、ゴッホ、ピカソも治療した 絵のお医者さん』 - 岩井 希久子 著。 たまたま図書館で目について読んだ本。 数々の有名な絵の修復をしてきた、岩井さんご本人によって書かれた本。日本には修復家が少ない現状を知った。 海外では美術館に専属の修復家…

村上春樹『ノルウェイの森』再び

とても久しぶりに村上春樹の『ノルウェイの森』を読む。 村上作品はいろいろと読んできたけど、学生の頃この本を読んで、なぜか納得できなくていらいらしたのを覚えている。 今読んだらどう思うのだろうと、読み直してみた。 全編にわたって描かれ続ける性描…

「クラバート」を読む

「クラバート」を読みました。 ドイツの伝説から生まれた、生と死や、意思を貫く強さをテーマに描かれたファンタジー児童文学。 夢で聞いた声に導かれ、水車場で働き始める主人公。次々と明らかになる謎や、集団の中で懸命に生きる主人公の成長を描いていま…

忘れられた巨人 レビュー

「忘れられた巨人」(カズオ イシグロ)を読みました。おもしろかったので、久しぶりにレビューを。過去に起きた大切なできごとが思い出せない。そんな問題を抱える国に住む、老夫婦を描いたお話。記憶をさがし、彼らは旅に出ます。そこで記憶を奪う霧を吐く、…